布団に入っても眠れない男の、寝る前90分の組み立て方
この記事は一般情報であり、不眠症などの診断・治療を目的にしない。
布団に入ってから30分以上眠れない日が多い。寝つきをよくする方法を調べては、単発の技を試して挫折してきた。何かを買い足す前に、手持ちの生活でできることを知りたい。そんな人に向けた一般情報です。
この記事の結論
寝つきの悪さは、布団の中でどうにかするものではありません。布団に入る前の90分で、ほぼ決まっています。
組み立ての骨格はこれだけです。
- 就寝90分前ごろ: 風呂に浸かる(ぬるめ・10〜15分が目安)
- 風呂上がり〜就寝: 照明を落とす。スマホは布団に持ち込まない
- 就寝30分前: 明日の準備と考え事を紙に書き出して締める
- 布団: 眠る以外のことをしない
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、就寝の1〜2時間前に40℃程度のお湯に10〜15分ほど浸かる入浴が、寝つきと深い睡眠に役立つと案内されています。新しい道具は要りません。順番を決めるだけです。
眠れない日が長く続き、日中の生活に支障が出ている場合は、生活の工夫の範囲を超えている可能性があります。医療機関への相談を選択肢にしてください。
寝つき対策を調べると、呼吸法、ストレッチ、飲み物、アプリと、単発の技が山ほど出てきます。試しては消えていった技が、あなたにも幾つかあるはずです。
編集部の見方では、技が効かないのは技のせいではありません。土台が崩れているからです。寝る直前に熱い風呂へ入り、白い照明の部屋でスマホを眺め、布団に入ってから明日の段取りを考え始める夜を続けたまま、新しい呼吸法だけを上に乗せても勝ち目は薄いです。
だからこの記事では、技を増やしません。風呂、光、スマホ、考え事。すでに毎晩やっていることの順番と時刻を並べ替えます。0円です。
90分の組み立て
1. 風呂を就寝90分前に置く(ぬるめ・10〜15分)
一番効かせやすいのが入浴の位置です。e-ヘルスネットは、就寝の1〜2時間前に40℃程度で10〜15分浸かると、深部体温がいったん上がり、その後の低下が寝つきと深い睡眠を助けると説明しています。
逆に、寝る直前の熱い風呂は体を起こしてしまう方向です。シャワー派の人は、まず湯船の日を週に数日作るところからで構いません。
2. 風呂上がりに照明を落とす
風呂から出たら、部屋の照明を一段落とします。一段で足ります。天井の白い光を消して間接照明だけにする、暖色モードに切り替えるなど、手持ちの設備でできる範囲で構いません。夜の強い光は体内時計を遅らせる方向に働くためです。
眠れない部屋には理由がある。寝室の光・温度・音を最小の手順で直す3. スマホの定位置を決める
布団に持ち込まない。これだけは90分の中で譲らないでください。
寝る前のスマホがやめられない。意志の力に頼らない減らし方4. 考え事を紙で締め切る
布団の中で明日のタスクや心配事が回り出す人は、就寝30分前に紙へ書き出してください。やることを3つ書いて、「続きは明日の自分の仕事」と締める。ストレスを寝床に持ち込まないことは、睡眠ガイド2023も原則の一つに挙げています。
5. 布団を「眠る場所」に戻す
布団で動画を見る、食べる、仕事をする。これを続けると、体にとって布団が「起きている場所」になります。眠る以外のことは布団の外で終わらせて、眠くなってから布団に入る。眠れないまま長く粘るより、一度布団を出て暗めの部屋で過ごし、眠気が来てから戻るほうが切り替えやすいです。
食事と夜食の位置
就寝間際の夕食・夜食は、眠りを妨げる方向に働くとされています。残業で夕食が遅くなる日は、帰宅後の食事を軽めにする、消化の重いものを避けるなど、量の側で調整するのが現実的です。
寝る前の空腹がつらい場合に何かを口にするなら、量を小さく。ここでエナジードリンクや酒に手を伸ばすと、90分の組み立てが崩れます。
やりがちなNG
0. 快眠グッズから組み立てを始める
アイマスク、入浴剤、リカバリーウェア。買うこと自体は否定しませんが、順番が決まっていない90分にグッズを足しても、効いたかどうかの判定すらできません。まず順番、買い物はその後です。
1. 「寝よう」と強く意識して布団に入る
眠りは追いかけると逃げるタイプの現象です。待つのが正解です。眠くなるまで待つ、眠れなければ一度出る。布団の中の我慢時間を減らすほうが、結果的に寝つきは整いやすくなります。
2. 週末だけ完璧な90分をやる
平日5日の崩れた90分は、週末2日では相殺できません。完璧を目指さず、平日に実行できる粒度(風呂の位置だけ、照明だけ)から固定してください。
自分の90分を書き出す表
現状と変更後を1行ずつ埋めるだけの表です。
| 時刻 | いまやっていること | 置き換え後 |
|---|---|---|
| 就寝90分前 | 例: スマホでSNS | 風呂(ぬるめ10〜15分) |
| 就寝60分前 | 例: 明るい部屋で動画 | 照明を落として動画は座って見る |
| 就寝30分前 | 例: 布団でスマホ | 紙に明日の3つを書いて締める |
| 就寝 | 例: 眠れず粘る | 眠くなってから布団へ |
全部を一度に変える必要はありません。1行変えて1週間、が現実的なペースです。
医療機関へ相談したほうがいいサイン
- 90分を整えても、眠れない日が長く続いている
- 眠れないことへの不安で、夜が来るのが怖くなっている
- 日中の眠気や集中力低下で、仕事や生活に支障が出ている
睡眠ガイド2023は、眠りに不安を覚えたら専門家に相談することを5原則の一つにしています。工夫の出口が見えないまま一人で続けないでください。
まとめ
- 寝つきは布団の中ではなく、前の90分で決まる
- 風呂は就寝90分前・ぬるめ・10〜15分に置く
- 照明を落とし、スマホは布団に持ち込まず、考え事は紙で締める
- 眠れない状態が続くなら専門家へ
参考:快眠と生活習慣(e-ヘルスネット、厚生労働省) / 厚生労働省 Good Sleepガイド(ぐっすりガイド)成人版(健康づくりのための睡眠ガイド2023)